クルマの三大要素と言われる『走る、曲がる、止る』の中でも、最も重要なのが『止る』こと。安全性を確保するのはもちろん、コーナーを速く駆け抜けるためにも余裕のあるストッピングパワーは欠かせない。ハデさはないが、強化をすれば確かな効果が実感できる、堅実なカスタマイズの第一歩としてもオススメだ。 そこで今回は、スポーツブレーキパッドのパイオニアであるウインマックスにお邪魔して、ブレーキチューニングのイロハについて話を伺っていこう。

ブレーキキャリパー

運動エネルギーを熱エネルギーに変換しているブレーキシステム。うまく放熱できれば良いが、サーキットを連続周回するなどしてキャパシティを超える熱量が蓄積されると、パッドの炭化に伴う『フェード現象』や、沸騰したフルードの気泡がラインに咬んでしまう『べーパーロック現象』など、様々な弊害を引き起こす。

そこで紹介したいのが、ビッグキャリパー化によるブレーキシステムのアップデートだ。熱に対するキャパシティに余裕が生まれる他、制動力アップやペダルタッチの改善など、そのメリットは計り知れない。ただし、導入時にはホイールや足まわりと干渉しないか等の確認が必要。ノウハウのあるプロショップに相談したい。

ブレーキホース

パッド&ローター交換の次にやるべきメニューとして、その効果がハッキリ出るのが『ステンメッシュブレーキホース』への交換だ。純正ブレーキホースはゴム製のため、フル制動時など高い液圧が掛かると膨らんでしまう。

対してゴムホースの周りにステンメッシュ被膜を設けた強化品は、膨張することがなくダイレクトに液圧を伝えることができるため、カッチリとしたペダルタッチに生まれ変わる。つまり曖昧さがなくなりコントローラブルになるというわけ。手頃な価格でもあるので、ぜひ試してみて欲しい。

ブレーキフルード

パッドを新調する際に一緒に交換したいのがブレーキフルード。フルードは経時劣化していく毎に吸湿をして沸点が低くなる。するとエアを咬み込みやすくなり、その揚げ句ブレーキの効きが悪くなってしまう。よって、定期的にエア抜きや交換をする必要があるのだ。

交換の際には、ドライ/ウェット沸点が高いスポーツフルードを入れればなおさら安心。フルードは沸点によりDOT3やDOT4、DOT5.1などと区分されることが多いので、こちらも選ぶ際のひとつの目安になる。ただし沸点が高いフルードほど、吸湿性が高く交換サイクルが短くなる傾向にあるので、その点はご注意を。